時間が足りない

2005年10月20日

定例議会を終えて

第3回定例議会が閉会し、1週間が経ちました

約ひと月間の会期中に処理できなかった、区民相談をひとつひとつ対応させていただいています
介護、借金、難病、住宅、水害被害、学校、保育、道路等々、様々な問題を抱えた方から相談をいただいていますが、なんとか解決したいと悩める日々です

さて、今回の議会での一般質問を掲載させて頂きます
以前にも述べましたが、時間が無く、少々不満の残る内容となってしまいましたが、とりあえず言いたいことは言ったという感じです

2005年第3回定例議会 一般質問

杉並区議会公明党の一員として、区政一般について質問をさせていただきます。

質問に先立ち、9月4日の水害において被災された方々に、心よりお見舞い申し上げますとともに、今日まで復旧作業に携わってこられた、関係機関の方々に敬意を表します。

はじめに、文字・活字文化振興法制定における取り組みについて

次に、コンピュータシステムの震災対策について

最後に、集中豪雨における水害対策について

以上3点にわたって質問させていただきます

活字文化を守り、発展させるための「文字・活字文化振興法」が、先の通常国会で成立しました。
提案の趣旨説明として「人類が長い歴史の中で蓄積してきた知識・知恵の継承と向上や、豊かな人間性の涵養並びに健全な民主主義の発達に欠くことのできないもの」と、文字・活字文化の価値について強調されました。

条文では、活字文化を振興するための、国や地方自治体の責務を定め、学校教育や地域で施策を講じることがうたわれています。

具体的には、必要な数の図書館を適切に配置すること、大学をはじめ教育機関の図書館に対しては、地域住民への開放が求められます。その上で、司書の充実やインターネットなど情報化の推進が図られ、人と物の両面から図書館の質を向上させ、国民の読書環境の整備を進めることが明記されています。

また、学校教育では、「言語力」の涵養をはかることが盛り込まれました。言語力とは、「読む」「書く」「話す」「聞く」などの言語の基本的な機能に関する、日本語に限らない幅広いコミュニケーション能力を意味する言葉として使われています。

このほか、良質であっても出版が難しい学術書の普及を後押しすることや、活字文化の国際交流の促進、読書週間の初日に当たる10月27日を「文字・活字文化の日」とすることなどが盛り込まれました。

同法は、文化芸術振興基本法を土台に、より具体的な施策を展開するために派生した個別法であります。「国語についての理解」を定めた文化芸術振興基本法の第18条には、「国語が文化芸術の基盤をなす」と明記され、国語教育の充実や調査研究、知識の普及などに必要な施策を講じることがうたわれています。

同法制定の背景には、急速に進む国民の活字離れや、若者の読解力低下があります。経済協力開発機構(OECD)が中・先進諸国の高校生を対象に行っている(2000年版)「国際学習到達度調査」によると、毎日の読書量を聞いた設問に対して、「趣味で読書をすることはない」と回答した日本の高校生は55%で、調査対象国の中でワースト1位。昨年12月に発表された2003年版の調査では、2000年は8位だった日本の高校生の「読解力」は、14位にまで後退しました。
こうした活字離れを裏付けるデータが相次いだことが、法制化の後押しをしたようです。

先にも触れましたが、振興法の第五条に、「基本理念にのっとり、国との連携を図りつつ、その地域の実情を踏まえ、文字・活字文化の振興に関する施策を策定し、および実施する責務を有する。」と自治体の責務を明記されました。区はこの、文字・活字文化振興法制定についてどのようにお考えか、ご所見を伺います。

具体策として、図書館のありかたについてお伺いします。
日本の公共図書館は約2600館程度です。一方、英国には、日本よりも人口が少ないにもかかわらず、約2万2000館もあります。日本の図書館は、その数も蔵書も欧米諸国と比べてまだまだ見劣りするのが現状であります。

ニューヨーク図書館を紹介した「未来をつくる図書館」という本に、ゼロックスのコピー機、ポラロイドカメラ、世界一の発行部数を誇る「リーダース・ダイジェスト」、これらは全て図書館から世に送り出されたということが紹介されています。米国の産業振興において、情報収集と、活用能力を図書館が果たしているという、象徴的な事例と言えます。

現在、区内には12館の区立図書館がありますが、本に興味のない限り、あまり魅力的な施設とは言えません。インターネットが普及し、時間的制約のない情報収集が自宅で可能となってからは、私自身、足が遠のいた気がします。今では、子どもの本探しにつきあっても、個人的に利用することはなくなりました。

区は、平成15年に「これからの図書館運営のあり方」をまとめましたが、2年経過し、成田図書館を指定管理者で運営し始めたこと以外、レファレンス機能を含む各種サービスにおいて、具体的な施策は進んでいるようには感じられません。

魅力ある新しい図書館の姿として、より親しみやすい、利用しやすい地域の情報拠点していくべきであります。
具体的には、ただ単に読みたい本を借りに行くという、文化教養型の図書館サービスと同時に、分からないこと、知らないことを調べられるという、問題解決型の図書館サービスが求められています。

区民の幅広い情報リテラシーの取得などの視点を踏まえ、従来型のサービスをおこなっている区立図書館のありかたを再検討すべきと考えますが、ご所見を伺います。

いい図書館作りには、高い専門性を持った優秀な人材が必要ではないか、と感じています。特に、これから課題となる、問題解決型の図書館サービスという視点で考えたとき、事務スタッフおよび司書、たとえ嘱託であっても、その配置とスキルアップが最重要課題であると考えますが、ご所見を伺います。

ユピキタス社会、つまり欲しい情報がいつでも好きな時に手に入る時代が到来しようとしている現在、情報集積地とも言える、図書館の豊富なデータベースをより正確に、そして手軽に手に入れる手段として、IT化の推進は非常に重要であると考えます。
また、ネットワークの構築は、図書館では対応しきれない、利用者のニーズを補完することも可能となります。

そこで、レファレンスを含め、サービス機能強化のため、情報基盤の整備が急務と考えますが、機能不足のホームページのリニューアルを含めた、図書館ネットワークの構築の取り組みについて伺います。

さて、自治体事業において様々な経営改革が進められていますが、図書館といえども例外ではありません。
厳しい財政下であり、図書館にも自治体同様、自己決定・自己責任が求められる時代と考えます。新しい指標なども用いた、説得力ある行政評価の仕組みを作り、特色ある図書館にすべきと考えますが、ご所見を伺います。

図書館は本の倉庫というイメージを払拭し、ぜひ、誰でもが、おもしろい場所、に作り変えて頂きたいと、要望致します。

振興法では学校教育における言語力の涵養についても明記されました。

涵養とは「養い、育てる」という意味です。
最近コミュニケーションが苦手な子どもが増えたと言われています。
また、若者言葉やメールでの絵文字を使った文章などは、世代間のギャップのみならず、コミュニケーションの断絶さえ感じさせます。言葉や文章は時代によって変化することは、歴史の流れではありますが、そのベースには言語力が不可欠と考えます。言語力とは情報を正しく認識し、相手に正確に伝える力であります。

教育における言語力の涵養については、読書活動の重要性が指摘され、環境の整備が必要とされています。
杉並区では、「子ども読書活動推進計画」を策定し、他の自治体に先駆けて、読書活動を推進してまいりました。

そこで、区の学校教育における、子どもの読書活動の実態についてお伺いします。

学校図書館を学習情報センターと位置づけ、先進的な取り組みを行っていると言われる自治体の、ある小学校では、1週間の全ての授業時間に図書館を使っての授業が割り当てられ、毎次元2クラスから4クラスが図書館での授業をおこなっているとのことです。授業が始まると子どもたちがカウンターの前に本を持って並び、借りた本を返し、授業が終わるとそれぞれ借りて行くそうです。
読書そして、図書館が学校生活の中で息づいているのです。
こうした取り組みは、経営者である校長の決断と、教育委員会の理解が必要であると考えますが、区のご所見を伺います。

その小学校では、インターネットはその性格上、安易に利用するのではなく、最後の手段ということを、体験を通しながら教え、それが定着しているとのことでした。

子どもたちの未来の可能性を担保し、わが国の永続的な発展を保証する意味でも、豊かな人間性を育む読書教育と同時に、総合的な情報リテラシーを取得できる教育が、求められていると考えます。
学校教育の柱である「人づくり」のために、問題解決能力の育成と、その基礎となる情報リテラシーの育成および、スキルアップを体系的に指導する必要があると考えますが、区のご所見を伺います。

「法案の目的を一言で言えば、「『知』の復権」をめざす」と提案理由にあげられています。国民の活字離れや、学力低下が指摘される根底には、「知」というものの価値を軽視する社会の風潮があります。
活字は、時間と空間を超えて、他者に考えを伝えるもので、読解力の低下は、文化の衰退、ひいては他者を理解する心や、倫理観の形成にも影響が出て来ると考えます。

活字は、人類の長い歴史の中で積み重ねてきた、知識や知恵を伝達し、発展させるための、中心的な媒体役を担ってきました。
活字文化の振興で、「知」の価値を再確認することは、学問や文化の発展の原動力である、純粋な探究心や情熱を取り戻す、契機になると考えます。

次に、コンピュータシステムの震災対策についてお伺い致します。

6月10日の区民生活委員会で、原町市との災害時相互援助協定の締結に関連し、震災時のシステムデータのバックアップについての質問で、データ保管の現状についての問題を指摘させていただきました。

阪神淡路大震災以降、国及び各自治体では危機管理システムの見直しが進められています。

以前勤めていた会社では、システムは経営の根幹をなすものであり、高額な投資で、バックアップシステムを構築していました。
数百万件にもおよぶ重要な顧客データは、遠隔地の震災対策をこうじた、厳重な建物で管理され、本社のシステムが被害を受けても、短時間で復旧、稼働できるという危機管理がなされていました。

民間企業では当然のことでありますが、区における現在のバックアップシステムについて、災害時のデータの安全性、メインフレームいわゆるホストコンピュータシステムがダウンした場合の対応は、どのような体制になっているのか。また、庁内の部署ごとにある、データのバックアップシステムは、どうなっているのか、お伺い致します。

平成9年に「災害時における、大型汎用電子計算機の相互支援体制に関する協定」を都内8区で結んでいますが、内容を検証してみると、あまり現実的な協定でないことがわかりました。

首都直下型の大地震が来た場合、杉並以外の区が無事であるとはおもえません。
また、どこかの区のシステムが無事であったとしても、交通網は寸断され、広域災害時の交通規制によって、ほとんどの幹線道路は通行止めとなる中、オペレータの派遣や、データの搬送は不可能であると考えられます。

そこで、協定先を含め、災害協定を見直す必要があると考えますが、区のご所見を伺います。

また、システムの危機管理体制の整った、民間企業等との提携についても選択肢の一つとして検討してはと考えますが、併せて伺います。

震災時の被害状況の掌握、安否確認のための住民基本台帳データの出力、罹災証明の発行手続き等、コンピュータシステムの果たす役割は重要だと考えます。

今後、庁内システムのBIA(事業影響度分析)および、復旧計画を具体化したBCP(事業継続計画)によって、システムにおけるリスクマネジメントを早急に体系化すべきことを要望し、この項目の質問を終わります。

最後に、集中豪雨における水害対策についてお伺い致します

被害の大きさから、多くの議員の方から質問がでましたので、極力重複を避け、質問させて頂きます。

約2年半の議員活動において、4度にわたり荻窪地域の水害を現場で体験しました。

浸水被害に苦しむ地域の方々の、切実な要望を行政に届けるため、議会でも質問させていただき、関係部局と解決策を探ってまいりました。

根本的な解決策を見いだせない申し訳なさと、少しでも地域の方の不安が取り除ければと、台風や豪雨のたびに、何度もカッパを着て現地に飛び出していきました。

8月4日も、建設課で警戒水位を超えたことを確認し、午後8時過ぎ、今年、既に2度の浸水があった、荻窪二丁目・四丁目の善福寺川沿いの地域に駆けつけました。

身の危険を感じるほどの濁流の中、胸まで水に浸かりながら、地域の方々と必死に救援活動をおこないました。

何台もの車を水の中から、押し出しました。
床上浸水し、停電で真っ暗な家の中から、ずぶ濡れになった、高齢者の方を救い出しました。

その、筆舌に尽くしがたい現場での体験を通して、幾つかの提案をさせて頂きます。

まず、自治会、防災会が全く機能しませんでした。
地域性もあるのでしょうが、高齢化が進んだ自治会の方々が活動するには、あまりにも危険な状態であることがあげられます。

しかし、実際には町会等に属さない、多くの地域の方々が、交通整理や車の移動など、救援活動を自主的におこなわれていました。

そこで、水害地域において、休日や夜間の行政対応が時間を要する場合、緊急支援活動をおこなう、独自の災害支援組織を地域の協力を得て、つくる必要があると考えます。

また、そこには必要な機材と、高齢者の一人暮らし等の情報をあたえる必要もあると考えます。

次に、水害の場合、震災救援所としている学校が、浸水被害を受けたり、氾濫した川向こうであったりする場所があります。

今回もそのような例が幾つかあったと聞いていますが、今後、地形を分析するとともに、避難路のシミュレーションをおこない、水害地域の避難場所を確定させ、地域住民へ、周知徹底させる必要があると考えます。

その際、水害による被災者を前提とした、備蓄品も用意して頂きたいと思います。

最後に、今回の水害において、多くの議員が真っ先に現場に駆けつけ、第一線で活動しました。

浸水当初から、現場の一番正確な情報を掴んでいたのが、議員であったのでは、と考えます。現場でしか分からないこともあります。

しかし、その状況を伝えようにも、役所の電話はパンク状態で繋がりませんでした。

そこで、議員や区職員専用のホットラインを提案致します。
決して難しいことはありません、携帯電話が繋がる電話回線でいいのですから。

他にもいろいろとありますが、技術的な問題も少なく、早急に実現可能な項目をあげてみましたが、区の考えをお伺いします。

今回の経験を踏まえ、区民、行政、議会が一丸となって、この未曾有の困難な課題を克服して行かなければなりません。

ともあれ、周辺住民の皆さんが、一日も早く、安心して暮らせるよう、国と都に働きかけ、抜本的な水防対策を実現させることを要望し、質問を終わります。