第2回区議会定例会を終えて

2011年7月4日

先週閉会した定例会での一般質問者は29人でした

聞くところによると、過去最高の質問者らしいです

新生議会であったことと、やはり大震災で質問者が増えたようです

これまで役職に就いていたことから、今回は2年ぶりに一般質問に立ちました

新人議員の質問を聞きながら、初めて登壇したことを思い出しました

足はがくがく、ただでさえ喋るのが速すぎると言われているのに、極度の緊張が拍車をかけて滑舌まで最悪だったことを思い出しました

今考えれば恥ずかしい限りです

あれから8年、多少は緊張するものの、それが心地よかったりして、少しはゆとりを持てるようになったかなと思います

政治家には成長しなければならない定めがあると思っています

昨日の自分より今日の自分は?昨年の自分より今の自分は?常に悩みと苦しみと闘い続けながら、時には折れそうになる心を奮い立たせながら、「頑張れ!」と自分に言い聞かせ日々活動しています

この1年は本当に様々なことがありました

苦しい選挙戦もありました、大震災で家族が被災しました、素晴らしい出会いや、悲しい別れもありました

振り返ると、その1つひとつが、かけがえの無い財産となって自分を成長させてくれているのだと思えます

何よりも、たくさんの人に支えられ励まされ、今の自分が有ることを忘れてはならないと

さて、少し長文になりますが、今回の一般質問を一部抜粋して掲載します

2011第2回定例会 一般質問

区議会公明党の一員として、区政一般における質問を行わせていただきます。

質問に先立ちまして、東日本大震災で犠牲になられた方々のご冥福をお祈りすると共に、被災された皆さまに心よりお見舞い申し上げます。

では、質問に入ります。

はじめに、杉並区の震災対策について伺います。

まず、昨年策定された「杉並区BCP業務継続計画 震災編」について伺っていきます。

平成17年、奇しくも現在復興支援を行っている南相馬市、当時の原町市と災害時相互援助協定を締結する際、リスクを分散させるため、ICTにおける協定を提案するとともに、当区のバックアップシステムの問題点を指摘し改善を求めました。また、震災におけるリスクマネジメントの観点からBCPの早急な策定も提案しました。

平成20年第三回定例会では、我が会派の中村議員よりBCPについて具体的な質問がなされ、昨年、杉並区業務継続計画が3分野において策定されました。

今回の東日本大震災において壊滅的な被害を受け、完全に行政機能が停止した自治体のケースを除き、復旧に多大な時間を要したことからBCPの重要性が更に高まったと言えます。

今回の大震災で「想定外」という言葉が多く使われました。被害の要因が、地震によって引き起こされた津波と原発事故という、近代社会では経験しえなかった大規模でそして複合的な災害に直面したからであります。

「脅威や被害の想定」はリスクマネジメントやBCPなどの起点であると言われていますが、この想定を間違えると結論が大きく変わってしまいます。それは各被災地域での被害の程度に現れていると思います。

区としても、今後地域防災計画等の見直しをおこなって行く上で、想定については十分研究検討すべきことと考えます。

想定という意味では当区においては今回、震度5弱であったことからBCPが発動されませんでした。

人的被害、建築物の被害は少なかったものの、交通機関、通信インフラのマヒ、想定外の原発事故は行政機能に少なからず影響をもたらせました。

策定された計画では区内の震度を6弱と想定したものですが、今回の件を教訓として、それ以下の震度でも発動できる計画とすべきと思いますが、ご所見を伺います。

今回の問題点の1つとして、発災直後の通信網のマヒによって一時的に情報伝達、情報収集が不能となったことがあげられます。

地震発生直後から、電話回線や携帯回線に利用者が集中したため、かかりにくい状態が続き、各携帯事業者のメールサーバーもパンク状態となって区民の間からは、家族の安否確認ができず大変不安であったとの声が多く聞かれました。

情報化社会において、情報の遮断は混乱を引き起こす重大な要因であります。

そこで、災害時における通信網の整備について伺っていきます。

杉並区は関係各所に地域防災無線やMCA防災無線を配備していますが、今回、震災救援所等の連携に機能しなかったとの指摘があります。実際、当日、地域の震災救援所を回りましたが、情報のやり取りができない状況でした。

無線の設置場所、管理の問題、マニュアルの徹底等改善すべき点が多くあると思われます。

さて、一般電話、携帯回線などがマヒする中で、注目されたのがインターネットであります。

ネット環境が打撃を受けなかったことから、情報発信、情報収集に大きな効果を発揮しました。

私は、3月11日の震災当日夜、区役所の防災センターからツイッターを使って、震災救援所の開設や帰宅難民受入などの杉並区の震災情報をつぶやき続けました。

情報を求めて多くの帰宅困難者や区民が多数フォローする、つまり私の情報を見ていることがわかりまた。

申し訳ないと思いましたが、関係者に対し、リアルタイムで情報提供するために杉並区のツイッターの公式アカウントをとって情報発信するように、強力にそしてしつこく迫らせていただきました。

そして18日、杉並区のつぶやきが始まりました。

情報への関心の高さから、その日の内に数千人がフォローし始めました。

ツイッターのようなソーシャルネットワークシステム(SNS)はインタラクティブな性格を持つことから、杉並区として行政的なリスクを考慮しながらも、情報発信力の重要性に鑑み、公式アカウント取得の決断をしたことは評価するところです。

今回の大震災でメールが送受信できにくくなる中、SNSはストレスなく動き続け、安否確認や情報収集に役割を果たしたことが大きな話題となり注目が集まりました。

こうしたSNSを活用した行政情報の発信は各自治体で取り組みが始まっています。

今後、フェイスブックやユーストリーム、ユーチューブなどのSNSの活用についても区として研究検討をしていただきたいと要望するものです。

区内で快適なネットライフを実現する区民サービスとして、これまで杉並まるごとWi−Fi化と銘打って災害時の通信インフラとしても利用できる公衆無線LAN(Wi-Fi)の活用を提案してきましたが、その後の進捗状況について伺います。

また、非常時の活用も含め、区民サービスの観点から無料で利用できるフリースポットの設置も検討していただきたいと思いますがご所見を伺います。

衛星電話や以前、議会でも取り上げられたコミュニティFM放送局の設置など、様々な情報伝達手段の可能性についても研究すべきと考えますが、今後の災害時における通信網の整備についてのご所見を伺います。

現在、杉並区は公式ホームページと広報すぎなみによって行政情報を発信していますが、区内人口の3分の1を占める若年層への周知が課題となっていると考えます。

そこで、今、爆発的な普及をしているスマートフォンに注目したいと思います。

情報端末としてネットを利用するスマートフォンは、これまでの社会環境、生活環境を一変させるほどの力を持っています。特にネット依存度の高い世代に対して、広報杉並をはじめとした区の発行する情報誌の閲覧、また防災情報の新たなメディアとして、スマートフォン用のアプリを活用した行政情報の発信を検討してはどうか、ご所見を伺います。

次に、システム関連について伺います。

これまで、私たちは大震災に対する最低限の備えをしてきたと信じていました。リスク(クライシス)マネジメント、BCP(事業継続計画)、ディザスタリカバリなど、その重要性とコスト負担を見極めながら取り組んできたところです。

しかし、今回の東日本大震災は、これまでの災害対策の常識をひっくり返しました。

情報システムやデータセンター、通信インフラなどについて、「どの技術、どの対策が有効」で「どれがダメだった」のかを冷静に振り返り、新たな対策を見出さなければならないと考えます。

例えば、被災した自治体においてシステムが水没、または流され重要なデータが消滅したことが大きな問題となったことで、デザスタリカバリを考慮したシステム構築の重要性がクローズアップされました。

まず、原発問題を契機に電力不足による節電対策という新たな課題が突きつけられていますが、コンピューター及びサーバの節電と停電対策はどのようになっているのか伺います。

また、杉並区の業務継続計画において詳細な記載がありませんが、システム関連独自のBCPは策定されているのか伺います。

次に、リスクマネジメントの観点から、メーンフレームコンピュータ及びホスト系のサーバー等、重要なハードシステムの本庁舎外への移設、またデータのバックアップ体制の強化については、過去、議会答弁において、区として重要課題として取り組む姿勢を見せました。この震災を受け、改めて検討を急ぐ必要があると思いますが、ご所見を伺います。

今回の震災で行政におけるクラウドコンピューティングの価値が再認識されました。

被災した行政のシステムがダウンする中、クラウドサービスによって情報収集、伝達が行われ復旧支援に大きく寄与したことは、今後の行政システムの方向性を考える上で重要な出来事だったと思います。

「システム構築の迅速さ」というクラウドの特徴と、災害対策に求められる「即応性」がうまく結びついたと結果と考えられます。

政府が公表した「i-Japan戦略 2015」において、「行政情報システムの全体最適化をさらに推進するため、電子自治体クラウドの構築等により、行政情報システムの共同利用や統合・集約化を進めること」と明記されています。

他の自治体との共同クラウドの構築については課題が多くあると考えますが、区独自のプライベートクラウド構築は、震災対策のみならず行政改革にも大きな役割を果たしていくことができるものと考えます。

当区でも、情報基盤としてクラウドコンピューティングへの取り組みが必要と考えますがご所見を伺います。

次に、GIS(地理情報システム)についても伺います。

防災及び震災後の情報収集、分析また住民への情報提供としてGIS(地理情報システム)の活用は有効であることから各自治体で導入されてきました。

これまで議会で何度も取り上げさせていただきましたが、当区における導入状況はどのようになっているのか。また、災害対策のツールとして活用されているのか、お伺いします。

次に、帰宅難民対策について伺います。

今回の地震発生が平日の昼間であったこと。また、ほぼ全ての公共交通が停止したことから多くの帰宅困難者が発生し、区内を横切る主要道路は、夜遅くまで多くの帰宅者で溢れました。

寒さと空腹と疲れで大変な思いをしながらの帰宅者に対し、杉並区は救援所として区内施設を開放するとともに、区役所1階で温かい飲み物と非常食を振る舞いました。現場に居合わせましたが、多くの方の感謝の声を聞きました。不眠不休で頑張っていた職員の皆さまに対し敬意を表すると共に、素晴らしい対応であったと評価するものです。

しかしながら、首都直下型震災が発生した場合、震災救援所へ地域住民が多数避難してくると考えられますが、その場合、帰宅困難者への対応はどのように考えるのか伺います。

次に、教育委員会に伺います。

地震発生時には校内に多くの子供たちが残っていました。日頃より震災訓練や防災教育等をおこなっていると思いますが、まず、区内小中学校における震災時の課題について伺います。また、保護者が帰宅困難者で子どもを引き渡すことができないケースがあったとのことですが、詳細について伺います。

当日、区内6校の中学校の生徒が卒業遠足先のディズニーランドで被災しましたが、学校、また教育委員会の迅速な対応で、受入先と輸送手段の確保が行われ大事には至りませんでした。状況によっては難しい場面も想定されますが、児童の安全確保における引き渡し方法についての課題と今後の取り組みについて伺います。

次に、まちづくりの考え方について伺います。

区長は所信表明において、今後の杉並区のまちづくりに言及しましたが、今回の震災への対応を含め、住宅都市・杉並の今後のまちづくりの方向性については、どのように考えていくのか伺います。

また、防災に関連して阿佐ヶ谷駅周辺整備について伺います。

阿佐ヶ谷駅周辺の浸水対策として貯留管設置工事が進んでいますが、進捗状況と完成予定時期を伺います。

また、南口駅前広場の復旧について、区としてどのような方向性を考えているのか、ご所見を伺います。

続いて、今後の復興支援について伺います。

今回の地震で妻の実家が被災しました。

福島県富岡町、事故を起こした福島第1原発から僅か5キロ程の第2原発のある町です。

実家は海から300m程の所にあったため、残念ながら津波で流されてしまいました。

地震発生から3日目に届いた1本のメールで、家族全員無事に避難所にいることがわかりました。しかし、孤立した避難所は、食料不足でライフラインも断たれ、車のガソリンは底をつき身動き取れないとのことでした。

震災当初の混乱の中、非常食と水と薬を車に積み込み4日目の夜中、現地に向かいました。

通行止めの道路を迂回しながら、なんとかたどり着いた山間部の避難所は、氷点下で凍てつくような寒さの中、体育館の床に段ボールを敷いて毛布にくるまって寒さをしのぎ、口に入るモノといえば、2日前の冷たいおにぎりを1日2個だけという大変厳しい環境の中で、被災者の皆さんは身を寄せ合うようにしていました。

運んできた400人分の非常食と水は僅か1食分、それでも町長をはじめ避難所の方々に大変喜ばれました。

その後も、避難所の職員の方と連携を取りながら支援のお手伝いを続けさせていただいています。

避難してきた高齢の義父が、繰り返しつぶやく言葉があります「いつになったら戻れるの」と。

この議場にも、親族、友人、知人が被災された方がいらっしゃると思いますが、被災した家族を持つ当事者として、震災で家や家族を失い、原発によって故郷を奪われてしまった被災者の方々の苦しみをどうすれば取り除いてあげることができるのかと考える日々です。

さて、震災から3ヶ月が経過し、当初の被災者救援から、インフラ整備や行政機能の復旧、そして被災地域全体の復興支援へと変わってきました。

これまで、それぞれの被災地への救援、復興支援において自治体間の相互援助協定が実行力を発揮してきました。協定を結んでいるのは1571市区町村と、全国の自治体の約9割に達しています。

今回、協定に救われたのは被災地だけではありませんでした。

都内の水道水から乳幼児向けの飲料基準を上回る放射性物質が検出され、安全な水の確保が困難になるという事態が起こりましたが、協定先の自治体からの提供によって確保することができたという区がありました。

現在、杉並区は4カ所の自治体と協定を結んでいますが、一番多く協定を結んでいる所は小田原市の136カ所であります。多ければ良いというものではありませんが、現在の協定先は人口、財政規模とも杉並区とは大きく違っており、地域も東日本に偏っています。

首都直下型地震を想定するならば、西日本方面、そしてある程度規模の大きな自治体との提携も必要であると考えます。そういった観点から今後、災害時相互援助協定を結ぶ自治体を増やすべきと考えますが、区のご所見を伺います。

今回の震災では、区は被災自治体に職員を派遣するなど支援をおこなっていますが、本来は国の果たすべき役割が大きいはずです。しかしながら、これまでの政府の対応は後手に回ってきました。そこで、各自治体への災害復興支援はどうあるべきか、区のご所見を伺います。

災害時相互援助協定を結んだ南相馬市に対し、地震発生後まもない3月16日より救援物資の提供、被災者の避難受入、職員の派遣、義援金の受付、チャリティーバザーの開催等、積極的に支援を行ってきました。南相馬市の復興は、原発事故収束の見通しが立たない現在、相当長い時間がかかることが想定されますが、復興支援の今後の方向性について伺います。

復興もこれからが正念場と言えますが、今後、時間の経過と共に震災に関するメディアの取り上げ方も少なくなってくると思われます。復興支援に対する意識の風化を食い止める為にも、長期的な復興支援の枠組みを作っていくことが必要であると考えます。そこで継続的な支援を安定的に行うための財政基盤作りという観点から、例えば、区独自の「復興支援基金」の創設を提案したいと思いますが、区のご所見を伺います。

以上、1人の日本国民として、被災地の一日も早い復興を心からお祈りし、質問を終わります。