ならぬことはならぬものです

2006年10月30日

什の掟

福岡での「いじめ」による自殺の真相が、全国に衝撃を与えました

いじめの張本人が教師という事実は、教育現場における価値観を崩壊させかねないほど重大なことでした
このような教師が存在すること自体、現代の教育現場の深刻さを物語っていると考えます

今、関わっている学校でも、気がつかないだけで、「もしかしたら」と考えてしまいました

この「いじめ問題」で、全国の教育関係者の注目を集めているのが、「什の掟」だそうです

什の掟とは、会津の子供たちがたたき込まれた武士の心得で、5代目会津藩主松平容頌(かたのぶ)の家老田中玄宰(はるなか)が「会津藩の興隆は人材の育成にあり」として藩校「日新館」を開学した1804年ごろできたといわれています

会津藩の男の子供たちは、10歳になると日新館に入学するきまりになっていました

6歳から9歳までの子供たちは、入学前からしっかりとした生徒になろうとして、自分たちの町に子供たちだけの集まりをつくりました

その集まりを「お話の什(おはなしのじゅう)」とか「遊びの什(あそびのじゅう)」と呼んでいました

まず、会津の武士の子供はこのようにしなければならぬという心構えを教わり、お互いに約束を決め、子供たちの家を順番で会場にし毎日熱心に反省会を行いました

そして、その約束には絶対にそむかないよう努力したのそうです
その約束が「什の掟(じゅうのおきて)」です

什の掟
一、年長者の言うことにそむいてはなりませぬ
一、年長者にはおじぎをせねばなりませぬ
一、うそをついてはなりませぬ
一、ひきょうなふるまいをしてはなりませぬ
一、弱いものをいじめてはなりませぬ
一、戸外でものを食べてはなりませぬ
ならぬことはならぬものです

そこには、幼い頃より自立した人間性を養うという精神があふれていますが、何より重要なことは、手本となるべき年長者が尊敬できるということではなかったでしょうか

以前にも書きましたが、「江戸しぐさ」における寺子屋での学習、つまり「まねび、ならう」対象も大人であります

はたして年長者である我々大人が、子どもたちにとって尊敬すべき対象なのか、今一度真剣に考えなければならない時代にきています

そういう意味からも、真の教育改革とは、私たち大人の問題ではと考えてしまいます

ともあれ、いじめによる自殺という最悪の負の連鎖が、これ以上続かぬことを祈るばかりです