未来を担う人材と。
父親として
最近、子どもさんの不登校についての相談を受けるようになりました。
私もニュースや新聞記事等で目にするたびに、2児の父親として決して他人事ではないと感じています。実際にそういった方々のお話を直接うかがうたびにあらためてその深刻さを実感させられた次第です。
文部科学省の報告では、小中学校で在学者数が過去最低を記録する一方で「不登校」を理由とする30日以上の長期欠席の児童生徒数が過去最多の13万9000人に達したとのことです。この調査を開始した1991年度から不登校の児童生徒数は増え続け10年間で倍増したことになります。行政もこれまで手をこまねいていたわけではなく、例えば不登校やいじめ防止対策の一環として、臨床心理士などの専門家をスクールカウンセラーとする制度については95年度から導入し、一応の成果は上がったようです。
しかし、こうした手立てが不登校の増加に追いついていないのが現実のようです。同調査の不登校には「保健室登校」などが含まれていないことから、実際の人数は数倍に膨れ上がるのではないかという見方もあるようです。
子どもたちの“学校離れ”の根っこに一体、何があるのかを繰り返し問い直さなくてはならないと思います。それには、私たち大人こそが常に子どもの目線で取り組んでいかなければ問題の解決には至らないのだろうと思います。
現場で一生懸命不登校の問題に取り組む先生が大多数であることは承知していますが、知人の小学校の先生がおっしゃった、「様々な取り組みは行っていますが学校側だけでは限界があります」というのも正直なところだと思います。不登校、いじめ、校内暴力、学級崩壊をどう克服するか、学校は決め手を見いだせないまま、悩んでいるようにも見受けられます。
親の不安が増し、学校に対する信頼度が今ほど落ちた時もなかったでしょうし、また逆に、これまで私達が培ってきた価値観で子どもたちに対することが正しいと私自身言い切れないもどかしさも感じています。
教育行政にとっても、学校現場にとっても、いかに低下する学校への信頼を回復し、保護者や地域住民を力強いサポーターにして、新しい教育への転換を図っていくか、「開かれた学校づくり」「信頼される学校づくり」が切実な課題となってきました。しかし、学習意欲の低下、また学力の低下が不安視されることもあり、各種行事や勤務に忙殺される先生方、かつての「学校至上主義」という教育行政を変えていくことも必要だと思います。
専門家ではありませんから適切な表現でないかもしれませんが、社会のための教育から教育のための社会を私たち大人が意識することが大切なのではないか思います。保護者はもちろん社会で支える学校、開かれた学校をつくりあげることが望まれているのではないでしょうか。
あわせて、不登校の子どもたちの受け皿となってきたフリースクールや、地域住民が運営に参画するコミュニティースクール、在宅学習のホームスクールなど「学ぶ場」の多様化を進め、学校を活用しない道を選んだ子どもたちにも、学校に通う子どもと平等に教育環境を整えるべきだと強く思っています。
ともすると急ぐべきだとされる教育基本法の見直し問題などにはじっくり時間をかけて慎重に取り組むべきで、逆に未来を託していくべき子ども達が楽しく伸び伸びと育っていくことのできる環境作りこそ急務だと考えます。教育こそ、国づくりであり、地域づくりであり、未来づくりであると思います。行政、学校、家庭、地域が一体となって取り組めるよう、皆さまと一緒に考えていきたいと思います。
皆さんのご意見・ご指導をよろしくお願い申し上げます。