「芸術とは鑑賞するものではない。共に生き、共に語らう人生の友である。」小林秀雄
先日、懇意にさせて頂いている「文楽」の人形遣い、吉田勘彌さんからお声をかけていただき、舞台を観に行ってきました
まだまだ日本の誇る伝統芸能の奥深さを堪能できる域までは達してはいませんが、鑑賞する回を重ねるごとに文楽の面白さが、やっと解り始めてきました
舞台終了後、楽屋を訪ねたところ、観客の方を舞台に招き、実際に使っている人形で人形遣いのやり方を説明されていました
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勘彌さんとは、ご自身で主催されている文楽のワークショップ形式の講演会で知り合いました
人柄も素晴らしい方で、現在でも学校での上演活動など積極的に日本の伝統芸術である「文楽」の普及に尽力されていて、お会いするたびに感銘を受けます
勘彌さんから帰りがけに声をかけられました
「渡辺さん、大阪のことが心配です、これから大丈夫でしょうか?」
大阪のこととは、橋本大阪市長の芸術団体への言動です
府知事時代に「文化は行政が育てるものではない」「大阪はオーケストラよりも、お笑い」と大阪フィルハーモニー交響楽団や日本センチュリー交響楽団の補助金をカットするとともに、「文楽を見たが、2度目は行かない。時代に応じてテイストを変えないと、ついてこない」とこちらも補助金大幅削減
さらに橋本氏が、芸術団体の頼みの綱である大阪市の市長に就任したことから、今後、合理化・削減が予想されると関係者は心を痛めています
時代の寵児として、これまで誰も成し遂げることができなかった改革を進めることに異論はありません
メディアの前で過激にも思える発言は、政治への不信感、閉塞感を感じている中で、心地よく聞こえてきます
しかしながら、数の力とメディアをバックにした構図は、現政権が誕生した状況とダブって見えます
ただ、権力が一人に集中しているということでは、方向性を誤れば誰も止められないということです
さて、話を元に戻します
過去に文化をないがしろにし、芸術を否定した国家が繁栄した歴史があったでしょうか
芸術文化の価値は、きわめて個人的な価値観で評価されるものであると考えますが、それはあくまで庶民の側であって、政治を司る者の立場ではないと断言します
簡単に言うと「政治家は好き嫌いで判断するな」ということです
歴史を見る限り、芸術文化の繁栄は国の、地域の豊かさの象徴であると考えます
今回の大震災でも、多くの芸術家が被災地に足を運び、どれだけ多くの方が、彼らの芸術活動に元気と安らぎをもらったことか
杉並区が支援する日本フィルハーモニー交響楽団も、被災地各地でボランティアコンサートを開催し、喜びと感謝の声が届けられたそうです
ナチスが、現代美術を退廃芸術として根絶やしにしたことと同じレベルで論じるつもりはありませんが、政治は全ての芸術文化に対し平等に機会を与えるべきであり、その活動や継承について理解し支援をしなければ、寄付制度が脆弱な我が国において芸術は終わってしまいます
また、あまり興味を持たない文化行政とはいえ、橋本氏が深い思索の上で吐いた言葉ではないと思えるところに、これからの改革の先行きに不安を感じます
勘彌さんの問いかけに対して「文楽は後世に継承すべき素晴らしい伝統芸術です。芸術立国を目指してきた我が党は、彼の言動を善しとすることはないでしょう。私個人としても、これまで微力ですが文化芸術振興を進めてきましたので、東京が、日本が芸術家にとって悲しい国にならぬよう働きかけをしていきます」と答えさせていただきました
世界無形文化遺産として世界に認められた「文楽」発祥の地は大阪です
もちろん、厳しい経済情勢の中で見直すべきこともあるでしょうが、本物の芸術文化の素晴らしさを知ろうとする努力を放棄した政治のリーダーはいずれ…と考えてしまいます[/fusion_builder_column][/fusion_builder_row][/fusion_builder_container]